【インバウンド ミニコラム】オーバーツーリズムの真の課題とその解決方法

インバウンドが成長する中で起きている問題のひとつに、いわゆるオーバーツーリズム(観光公害)がある。

 

これは日本に限ったことではなく、スペインやイタリアなどでも、社会問題化した経緯がある。さまざまな観光公害が取り淘汰されているが、その本質は、「外国人が増えすぎている」ことだけに起因しているわけでは決してない。

 

事実、日本の定住人口当たりの外国人の比率は、他の国や地域と比べれば、圧倒的に低い。例えば台湾は人口2360万人に対し、0.45倍の1073万人の訪台インバウンド需要がある。これがフランスともなれば、人口対比で実に1.34倍である。イタリアが0・98倍、スペインが1.76倍という規模を誇る。

それに対して日本にやってくる外国人はインバウンドが成長した現時点でわずか0.23倍。仮に政府が2030年までの到達目標として掲げる6000万人になったとしても、現在の台湾レベル(0.45倍)にすぎない。つまり、この程度の訪日外客数で観光公害に目くじらを立て、大騒ぎをしていたら、スペインやフランスなど到底手の届かない存在で終わってしまう。

 

もちろん、観光公害がなどないと言いたい訳ではない。問題になっている地域があることも事実だ。だが問題は訪日外客絶対数そのものではなく、過度な偏りにこそあるのだ

大都市と違って、地方には空き家や使ってない部屋など潜在的なキャパシティが豊富にある。それにもかかわらず、大都市部や特定有名観光地が過剰に口いっぱい頬張ろうとして、地方に積極的に拡散さえることを怠ってきたため、大都市部の地域住民にとっては過剰な負荷になり、観光公害という形になって不満が表出しているのだ。

 

これからは、自分たちのまち・観光地だけに来てほしいという自己中心的な考え方ではなく積極的に自分の都市圏を超えて広域の観光情報を発信し、旅行客を周辺地域に送客することが、むしろ自らの持続可能なインバウンド実現につながっていくと考える。