【インバウンドミニコラム】田園にこそ勝機あり

インバウンドのトレンドは大都市部から地方部に拡散しつつある。さらに政府は2020年までに、地方部での外国人延べ宿泊者数だけで、延べ7000万人泊にもっていくことを掲げている。同目標の達成のために、今新たなインバウンド政策として強力に推進されているのが「農泊」である。

「農泊」は実は農林水産省が有する商標で、意味するところは、「農山漁村において、日本ならではの伝統的な生活体験と農村地域の人々の交流を楽しみ、農家民宿、古民家を活用した宿泊施設など、多様な宿泊手段により旅行者にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行」となる。農家を民泊として利用するいことを「農泊」だと勘違いしている人がいるかもしれないが、この定義に則るならば、そうではない。農山漁村に滞在して、そこでの生活を体験してもらい、人々と触れ合ってもらう。簡単に言うと「田舎に泊まろう」ということであり、グリーンツーリズムやカントリーサイド・ステイという名で表現される度の形態とも共通する部分が多い。当然、生産農家に泊まることも可能だが、地域で放置されている空き家や廃校などを利用することで、地域の活性化を図り、同時に日本の伝統的な生活習慣を体験したいというインバウンド需要にも応えていくことができる。

 

急速にFIT(個人旅行)化が進むインバウンドの現状と農泊は、非常に親和性が高い。旅行者が家族連れや友人同士など少人数であることが、農家の受け入れハードルを低くするからだ。また、はるばる農村地域にまでやってきて、たった1泊だけで慌ただしく帰ってしまう人は少ない。農泊の定義である「滞在型」とは、ひとつの宿に連泊するという意味に限らず地域の中のさまざまな宿をめぐって複数日滞在することも含む。それによって多様な地域の魅力を知ってもらい、地域の人々と深く交流し、楽しんでもらうことも可能となる。

特にに欧米豪州からの訪日客は長期滞在型がメインであり、また彼らの日本文化への関心の高さ、および自国での農家民宿文化の定着ぶりを考えれば、農泊への需要は今度大きくなると考えられるであろう。