【インバウンド ミニコラム】食のダイバーシティ

食の禁忌やアレルギーというのは、世界の中で日本の対応が特に遅れている分野のひとつに数えられるだろう。即、命に関わる危険性のあるアレルギーに関しては、細やかな対応をする事業者も現れ始めているが、地方都市までには浸透していないように思う。

一方、世界の状況は違う。シドニーのまちでしばしば見かけたのは、ベジタリアン対応のレストランであり、各ストアにおけるベジ対応およびグルテンフリー、オーガニック等の表示が付いた食品類であった。もちろんオージービーフの国であるから、肉を好んで食べる人も多くいるし、シーフードが大好きな人たちもいる。だがそんな彼らの国にあっても、少なからぬ数の人々がベジタリアンやヴィーガンで総計では、人口の3割ほどにもなるそうだ。また、宗教上の理由で食に制約がある人も、世界には多くいる。シドニーでも、予想以上にムスリムが多く見られ、ハラールのお店も散見された

 

そういう人たちが今年の9月にはラグビーW杯で40万人もやってくるのだ。「ベジタリアンにはサラダをだしておけば良いだろう」といった安易な考えでは、大きな不平と不満が巻き起こることだろう。それは日本への失望となり、負のレガシーになることだろう。

フードダイバーシティーに向けては一部のホテルやレストランが真剣に取り組みはじめているが、まちのレストランや居酒屋においても、基礎的なダイバーシティについての認識と準備は不可欠だ。フードダイバシティーの実現は、理念の問題にとどまるものではなく、切実な、そして切迫した問題だ。日本のインバウンドが、アジアをはじめとるす隣国の需要に頼っているリージョナル次元から、グローバルな真の観光大国へと脱皮し、成長していく上では避けて通れない最重要関門である。