「インバウンド再始動!観光立国復興のための戦略とは? ~ヨルダン王国全権大使リーナ氏と四国コトバス社長の楠木氏からの実践報告~」/開催報告
6月の実践会が無事終了しました!
第1セッションでは、アラブ中東に位置するヨルダン王国より、駐日ヨルダン大使館の大使をお招きし、自国のアフターコロナ観光立国戦略を披露いただきました。
そして、第2セッションでは、「地域住民に愛される観光コンテンツ」を創出する琴平バス株式会社より楠木社長に登壇頂き、その実践を披露いただきました。
インバウンド再始動する今、観光立国復興のための戦略とは何か?
コロナ危機を糧に成長を続けるお二方を交えた白熱したトークセッションが繰り広げられました!
第一セッションでは、井上義則JiF幹事長(株式会社八芳園取締役社長)を聞き手に、ヨルダン王国駐日特命全権大使でありますリーナ・アンナーブ氏に登壇いただきました。
世界遺産や加工資源を多く保有するヨルダン王国。コロナ禍において政府と観光事業者が連携し、気づきや教訓から学びを得てどのように改革を行ってきたか、実践も交えて解説いただきました。
パンデミックを通して得た新たなグローバルトレンドをもとに、2025年までの観光戦略を作成。コロナ禍も観光キャンペーンを継続し、行動することで連略目標の達成を目指しました。観光戦略やアクションプランの業績評価を図るKPIは細部まで組み立てられた内容で、視聴者からもチャットコメントや第2部交流会にて驚きの声が上がっていました。
また、日本のムスリムツーリズム振興に向けたアドバイスでは、ハラールやそのマーケットについて改めてレクチャーいただくとともに、具体的で実践力の有る環境整備についても明確に分かりやすく解説いただくことができました。
第二部セッションでは、オンラインバスツアーの第一人者である琴平バス株式会社代表取締役の楠木泰二朗氏に登壇頂き、自社サービスのコトバスやうどんタクシーを活用した観光復興戦略について解説いただきました。
3年に1度、瀬戸内海を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2022」のオフィシャルバスツアーを担うコトバス。アフターコロナで来場者の回復が期待される中、オンラインバスツアーは継続して運行していくと話す楠木氏。
今では当たり前のオンラインミーティングも、コロナ前はこれが当たり前になるとはだれも考えていなかった。未来を創造し、未来から逆算して今できる事、今やるべき事は何かを見出す。メタバース時代が訪れた時に観光の在り方はどうなるのか。楠木氏の頭の中に「ミラーワールド」時代の観光戦略が広がっていることが垣間見え、とても感銘をうけました。
トークセッションには、VTuberの海杜こと氏も登場し、新しいチャレンジ尽くしのオープンセミナーとなりました。
また、夜の部の交流会では本日のセッション内容について参加者各々が感想を述べ、そしてそこから発展したディスカッションを行いました。観光に携わる多種多様な業界の皆様と異なる角度で、意見を交わし、様々な発見がある貴重な時間でした。
▽特に印象に残ったトピックス
“フードダイバーシティ(食の多様性)を実現させるために、すべての人に伝えたいという思いが大切”
ハラールツーリズムを考える上で、「あれはしちゃだめ」「これは使ってはいけない」ではなく、ムスリムの生活スタイルや文化を学び、そのスタイルにほんの少し特化したコンテンツを考えることが成長につながる、との話がありました。
ムスリムツーリズムのニーズは拡大していく。ムスリムの事を、相手の事をもっと学び、もっと知ることが大事である。
しかし、そこには、マーケットが大きいから対応するのではなく、自社の商品・サービスをすべての人に伝えたいという思いが大切である。世界に広めていくために、世界の1つを知るところから始めてみる。
フードダイバーシティ(食の多様性)、日本はまだまだ先進の国ではないかも知れない。その分、沢山のポテンシャルがある。そう実感できる機会となりました。
“観光事業者だけでなく、地域住民が幸せに暮らし続けられる観光(仕組み)を考える“
コトバスでは、地域一体となった観光地の再生や観光サービスの高付加価値化を様々な形で実践している。観光客用のタクシーを地元住民が相乗りできる仕組みもその一つ。暮らしやすさが向上することを地域住民が実感することで、事業者と地域住民が連携して「ウエルカム感」を醸すことができ、観光客の満足度も向上していくサイクルが描ける。
「地域の方にも愛される本物の観光コンテンツを磨いていきたい。」と話す楠木氏。
セッションでは、そのような人柄を持つ楠木氏に感銘をうけ、そのルーツや考え方を探る質問が多く飛び交いました。
▽まとめ
セミナーの最後に、中村好明JiF理事長からのコメントの内容を共有いたします。
“マイクロツーリズム(地元の人々による近隣観光)は、ウィズコロナ時代が明けたら止めてしまう一過性のものではなく、コロナ禍が明け、国内観光やインバウンド観光が完全復活したあとも、引き続き地元の人々にも日常使い的に楽しんでもらうコンテンツとして継続していくことが大事。それがやがて、遠方やインバウンドのお客様に喜んでもらえるコンテンツに成長していく。”
海外や地方の実践的な取組から、アフターコロナの考え方を改めて見直し、未来を創造する。
そんな機会を与えられた、とても素晴らしいトークセッションとなりました。
文章:黒木豪(JiF幹事会運営委員)