観光分野における危機管理と、食のダイバーシティ戦略を考える!/開催報告
7月の実践会が無事終了しました!
第1セッションでは、ツーリズムにおける観光危機がテーマ。
第2セッションでは、食の禁忌対応について詳しく実践報告していただきました。
インバウンドが再始動していく中、訪日観光客に“安心”して頂くための戦略について、熱い思いを語って頂きました!
第1セッションでは、吉川健一JiF副幹事長(株式会社BRICK’s代表取締役社長)を聞き手に、観光レジリエンス研究所代表の高松正人氏に登壇していただきました。
観光危機管理の第一人者である高松正人氏は、自身の経験を踏まえ、ツーリズムにおける観光危機への備えについてお話していただきました。
観光客を危機から守る為の、危機への対応と、危機対応への備え。いざというときに危機への対応ができるため、危機対応への備えを行っておくことが重要性を私自身も認識いたしました。
一言に“危機”と言っても、観光客にとっては例えば地震のような災害に留まらず、交通事故や、電車やバスが止まってしまうことも重大な危機になり得ます。その中で、危機への対応に備えるためにすべきことを明確に分かり易く解説いただきました。
第2セッションでは、中村好明JiF理事長を聞き手に、愛知県名古屋市にある「大久手山本屋」の5代目青木裕典氏、フードダイバーシティ株式会社代表取締役の守護彰浩氏に登壇していただき、フードダイバーシティに関する最新の取り組みについて紹介いただきました。
山本屋を進化させるための新たな取り組みとして外国人の方々、その中にはムスリムの方、ベジタリアンの方、ヴィーガンの方などより多様な可能性がある方々も気軽に食べられるお店を目指し、フードダイバーシティに取り組まれております。
今はまだ世界的に知名度のある料理ではない“味噌煮込みうどん”という料理で、フードダイバーシティ対応を行うという不安や、90年以上続く伝統のお店で、当初は従業員の反対もかなりあったとのことです。しかし、細かな気配りがされた様々な策を実施し、在住外国人の方、訪日外国人の方を問わず様々な方が来店されるようになり、また来店された方がまた次の新規の方を連れてこられるような、相乗効果を生み出し、伝統を進化させていく姿には感銘を受けました。
▽特に印象に残ったトピックス
“観光客を守る為に一番なことは、「安全」なだけではなく、「安心」な環境を作り上げること”
観光客に気兼ねなく旅行を楽しんでもらえる環境づくりで最も必要なことは、「安心」してもらうこと。人は、「安全」なだけではなかなか動かない。「安心」できることで、初めて人は行動に移るというお話がありました。
現在の日本は小さな自治体でもハザードマップを備え付けているなど、「安全」に関してはトップクラスの国なのかもしれません。しかし、それは地域の住民向けのもので、観光客が危機にあった際にどうすれば良いのかというものはまだまだ整備が進んでいない状況です。全ての人が「安心」できる環境づくりを進めるための取り組みを行う重要性を認識いたしました。
“リピーターを獲得するために特別に行っていることは、特にない”
フードダイバーシティに対応するために様々なサービスを用意する中で、唯一変えていない部分が接客でのお客様への対応とのこと。日本人と全く一緒の接客をすることで、普通に来て、普通に帰って頂くという、身近に感じて頂けるお店作りを心掛けているとのことです。しかしながら、来店時の挨拶は、お客様の出身国に合わせた言語でのあいさつを、従業員が自主的に行っていることです。変えるべきことと、変えるべきでないことを見極めることで、誰にでも居心地の良いお店作りをされている姿に感銘を受けました。
▽まとめ
今回の観光客を危機から守る観光危機管理とフードダイバーシティの取り組みに共通して
言えることは、インバウンドの本格的な再開に向けて大切なことは準備の大切さで有ると改めて認識できたトークセッションとなりました。
来るべきに時に備えて、インバウンドをご一緒に盛り上げていければと願っております!
文章:田中智巳(JiF幹事会運営委員)