ふるさと納税の未来・食の多様性の未来 /開催報告

8月の実践会が無事終了しました!
第一セッションでは、ふるさと納税のパイオニアである大阪府泉佐野市。直接、市役所の阪上氏からその最新戦略「ふるさと納税3.0」とは何か?について伺うことができました。
そして、第二セッションでは、地域づくりと密接な関係を持つ「食」。
食のダイバーシティを築き、そこから町を発展していくために地域・企業は何ができるだろうか。
そんなテーマを元に、食×地方創生の先進的なビジネスモデルを作ったスペシャリストの方々とトークセッションを行いました!

第一セッションでは、片桐優(ゆう)JiF副幹事長(ロコガイド取締役)を聞き手に、大阪市泉佐野市役所のふるさと納税チームから坂上博則さんにご登壇いただきました。
かつてふるさと納税除外自治体だったところから、裁判の勝訴を通して、対象自治体に復活を遂げた、大阪市泉佐野市役所の先進的な取り組み「ふるさと納税3.0とは何か?」を解説いただきました。
クラウドファンディング的手法とふるさと納税の仕組みを融合させた独自のプラットフォーム“さのちょく”を運営する大阪府泉佐野市。全ての自治体が公平にふるさと納税に取り組むことができ、ただ単に多くの寄付を集められるだけでなく、ふるさと納税を通して地域の食の生産・消費拠点を充実させ、泉佐野市に来街する動機を生み出すことで、泉佐野市にも訪日客を呼べる仕組みづくりができれば、コロナ禍前に大阪の中心部に集中して来たインバウンド市場におけるオーバーツーリズム問題を解消できる可能性を生み出せるのでは、という阪上氏の大きな構想力に、感服しました。

第二部セッションでは、
MICEビジネスのスペシャリスト、株式会社八芳園総支配人の井上義則さんから、食を通じたサーキュラーエコノミー(循環型経済)の発展に向けた新規プロジェクトをご紹介いただきました。
また、食のダイバーシティ分野の第一人者・株式会社フードダイバーシティ社長の守護彰浩さんにご登壇いただき、「様々な食べられないを食べられるに変える」ためのサステナブルな食の取り組みをご紹介いただきました。
世界の約7割もの人がコロナ後の旅行にサステナブルを求めるようになった今、我が日本に何ができるのか。
豪華な旅の定義が大きく変化し、“地球に負担がなく旅をすることが何よりの贅沢”となった今日。
食のスペシャリストであるお二方に、ヴィーガン、ベジタリアン、ムスリム、アレルギーを持つ全ての観光客が楽しめる場を創るために大切な姿勢や考え方を語っていただき、インバウンド回復時の進むべき方向がより明確になりました。


また、夜の部の交流会では参加者各々が地方の食の多様性への対応について、そしてそこから発展したディスカッションを行いました。観光に携わる多種多様な業界の皆様と異なる角度で、意見を交わし、様々な発見がある貴重な時間でした。

▽特に印象に残ったトピックス
”プロダクトは真似できるが、プロセスは誰にも真似できない”
中村好明理事長が坂上さんに対してコメントされていた、
「(返礼品という」プロダクトの結果だけを追い求めるのではなく、地場産品を生み出していくプロセスも重要視して、納税者を生産現場に巻き込んでいくことが地域産業活性化に大切になる」という言葉が響きました。
ふるさと納税とクラウドファンディングの手法を掛け合わせることは、その地域の唯一無二性や魅力を伝えるだけでなく、納税者と地域の関係を深める大きな可能性を秘めていると知りました。
「ふるさと納税事業に携わるうえで、全ての自治体が格差なく地場産業の活性化にチャレンジできる場づくりができるように」
メディアの中では語られていなかった泉佐野市の全国各地域への熱い想いを直接知ることができた、とても実りある時間でした。
“エシカルで地球環境に責任を持つ消費者が当たり前になっている今、アフターコロナで対応するのではもう世界から取り残されるだろう”
今日、ヴィーガンやベジタリアン、ハラールに対応するということは宗教や環境配慮だけでなく、アレルギーを持つ人でも誰でも食べることができるユニバーサルな食事として認識されるようになった今日。
重要性は理解していても、「コストがかさむのでは」「何が該当するのか、そもそも求める人の割合がどれほどいるのか」様々なハードルからどこから取り組むべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
しかし、日本の食の歴史を紐解いていくと、発酵や精進料理といった、日本古来の食が実はそれらに該当し、むしろ低い原価率でプレミアムなメニューとして提供することができるものだと話されているのが大変興味深かったです。
これからの観光を考えるうえで食のあり方を業種業界を超えて全員で取り組むべきテーマだと認識できた、素晴らしいトークセッションでした。
文責:佐々木茜