道東への旅 ~サスティナブルとは何かを考える

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2022年1月19日から21日の2泊3日、わがJiFのメンバーである、(一社)北海道ナショナルパークワーケーション協会(NPWA)さんのお誘いで、環境省のファムトリップに参加した。これで4度目の道東ツアーの参加となる。

これまでのツアーと違うのは、厳冬期の道東ということだ。事務局は、「零下10度の世界です。くれぐれも防寒装備は念入りに!」という注意喚起があったので、それなりに追加装備を準備した。去る12月の初冬期にも、道東には行ったばかりだったので、その時の装備の不足は痛感していた(耳と足先が冷たい!上着の厚みが足りない!)。厚手のアウターと、防寒頭巾を買い足し、ホッカイロを多めに持って、旅に臨んだ。

1月19日(初日)

午前中に羽田を出た飛行機は、13時に女満別空港に到着。
一面銀世界。12月の風景とは別世界。道路も除雪が間に合わず真っ白。見慣れた道東の風景も新鮮に映った。

14:30

車で移動後、美幌峠レストハウスでのツアーオリエンテーションが始まった。今回の2泊3日の行程の説明を受けた。屈斜路湖を見下ろす雪景色にこれから始まる楽しい旅が予感された。

15:30

このあと屈斜路湖畔フォークに参加するツアーの仲間たちとは別行動(残念!)、一足先に初日の宿、屈斜路湖畔の「丸木舟」にチェックイン。なにしろ今日はJiFの月に一度のオンライン全国実践会。初日のネイチャーツアーを断念して、実践会に16時から20:30まで没頭。Zoomは実に便利である。東京にいても、屈斜路湖にいても何一つ変わらず、国内外の仲間たちと熱く交流できるのだ。19時からのオンライン交流会では、メンバーたちとの楽しい語らいの合間に宿の部屋食を堪能。仲居さんの細やかで心優しい接遇に感動した。料理も美味しかった。

20:30

実践会のあと、お宿「丸木舟」スタッフさん総出演の現代アイヌ音楽ライブを鑑賞。伝統的なものとは一味違う歌と踊りに魅了され、ライブのあとも、興奮冷めやらぬまま、部屋でツアーの仲間と熱く語り合い、そのあと爆睡。縄文時代から今に続くアイヌの文化に触れることができた。

2月20日(2日目)

7:30に朝食をとった後、宿の温泉でリフレッシュ。

10:00 

屈斜路湖から流れ出る釧路川の起点に移動して、厳冬カヌーに乗船。12月にもカヌーに乗ったが、わずか1か月で景色は雪と氷の世界に一変していた。ツアーガイド氏の愛犬も同乗。人間だけではない、犬も一緒のカヌーも新鮮だった。

屈斜路湖にしろ、この釧路川にしろ、ゴミ一つない。カヌーから眺める河岸の樹木も手つかずのままだ(見苦しいコンクリートの護岸など何一つない!)。他とは違う。環境省や地元行政による環境保護がしっかりしている。

以前、石川県の金沢市街を歩きながら、はっと、気づいた。伝統的町並みは様々な金沢市の景観条例に基づく規制と整備体制によって守られているから、気分がいいのだと(電柱がない、派手な看板がない、景観を壊すものがない!)。他の町とは違う。

目に見えるものは、目に見えないものによって支えられている。当たり前のものの背後にあるものに気づき、思いを馳せることが大事だと、釧路川のカヌーの上で改めて強く思った。

地元弟子屈町の美味しい蕎麦屋でランチを済ませた。

13:30

摩周湖スノーシューツアーがいよいよ始まった。12月のツアーでは摩周湖畔でガイド氏の予告編の話だけだったが、今回は、スノーシューを履いて、ストックを手にして雪上ツアー。降雪時には足を踏み入れられない雪の摩周湖の横っ腹の尾根を歩く。全行程2時間半。かなりヘビーなツアーと思ったが、あっという間の楽しい時間だった。

一番感動したのは、青みがかった積雪の美しさ。その色。摩周ブルーにつながる何とも言えない色。雪は白いだけと思っていたが、スノーシューの足跡の穴を覗くと、薄いブルー。そして、気づいた。ああー、水がきれいだから雪が綺麗なのだ、と。

18:00、摩周湖をあとにして、鶴居村に車で移動。村内の温泉に立ち寄ったあと、今夜の宿、ペンション「ヒッコリーウインド」にチェックイン。食事をとったあと、宿の人とツアーの仲間たちと遅くまで語らい、爆睡。

2月21日(最終日)

06:00

起床。零下6度くらいの寒さの中、釧路湿原を見下ろす丘で早朝のバードウォッチング。重装備のおかげで、汗をかくくらい体も快適。タンチョウと別の場所に移動後、フクロウを遠望。かわいいエゾリスもサプライズで姿を現し、ツアー参加者は大喜び。私もリスのおもてなしぶりに感動。

08:00

朝食。

そのあとは、宿のマスターによるネイチャーツアー・スライドショー。そのあと、私のたっての希望が叶い、鶴居村のネイチャーセンターでタンチョウを目と鼻の先でウォッチ。前回遠望しかできなかったタンチョウが間近で観察できて、大満足だった。

今は、このタンチョウは北海道の道東でしか見られない。明治期に乱獲され一度は絶滅したかと思われていた。それが大正期にここ釧路湿原でほんの十数羽が発見され、戦後の保護活動でいまや千羽を超えるまで復活した。江戸期までは、関東など東日本各地で広くタンチョウは生息していた。この釧路湿原のタンチョウは、近代化によって失われた自然の生き証人なのだ。

手つかずの自然が数多く残るこの道東においても、近代以降大規模な開発、森林伐採、人工林の造成、河川改修、住宅や都市建設による水質汚染、景観破壊の爪痕・痕跡はいまなお色濃く残っている。道東の自然の中に、失われてしまった自然の姿を脳内でよみがえらせ、環境保護の重要性に思いを馳せることは、ネイチャーツアーの一番大事な意義なのではないかと、今回改めて強く思った。

16:00

鶴居村をあとに、広大な雪景色の中を早めに釧路空港に移動。全行程をNPWAさんがしっかり旅程管理していただき、スムーズで快適なツアーとなった。

18:30

釧路空港を飛び立った飛行機は、羽田空港に到着。

あっという間の旅だった。しかし、得るものはたくさんあった。

私の考える「サスティナブル・ツーリズム」

サスティナブルな旅の醍醐味は、その旅の中ばかりにあるのではなく、旅から日常に戻った後にこそあるのだ、と今回思った。近代以降人間が手を加え、ひとたび変造された自然は完全には、もはや原風景へとは戻らない。しかし、今以上に劣化しないように大事に保護し、可能な限り元の姿への復元を目指すことはできる。

誰か(政府機関や自治体)だけに任せるのではなく、都会など自分の暮らす地域のなか、家庭内の暮らしのなかで、できることを考え実践することが大事だと思う。

たとえば、地球環境に影響の少ない洗剤を使うとか、プラゴミを減らす工夫とか、節水とか。無理は長続きしない。できることから始め、続けること、すなわちサステナブルな日々の活動が大事だと思う。

サスティナブル・ツーリズム(Sustainable Tourism)は直訳すると「持続可能な観光」という意味だ。

国連世界観光機関(UNWTO)は、サスティナブル・ツーリズムを以下のように定義している。

「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」

私は、今回の旅がきっかけで一つひらめいた。
このUNWHOの定義に一つ加えるべきことがあると。
それは、上掲の定義に加えて、サスティナブル・ツーリズムとは、

「その旅から日常生活にもどったあと、自らの住む地域の現在および将来の持続可能性を考え、具体的な行動変容を生み出す旅」

であると。

以上。

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